もう一つのプロジェクトは、下記である。
- 期間:2008年度~2009年度
テーマ:技術者教育としての課外活動の可能性の提示と「人間力」養成メソッドの開発
共同研究者:三崎幸典(詫間電波高専)(08年度~)
山田誠(函館高専)(08年度~)
岩﨑洋平(八代高専)(08年度~)
江本晃美(福井高専)(08年度~)
渡辺敦雄(沼津高専)(09年度~)
三木功次郎(奈良高専)(09年度~)
課外活動には、技術者教育における「人間力」養成の大きな可能性があると考え、「武道部メソッド」を考案し、武道部の指導をしてきた。さらに、課外活動指導を技術者教育として意義付け、その実践メソッドを共有することには大きな意味があると考え、本プロジェクトを実施している。その成果の一部は、平成21年度教育教員研究集会(高専機構主催)で各メンバーが報告した通りである。
今、紙幅に余裕がないので、その時中森があまり触れなかった点について、簡単に書いておく。
課外活動の意義は、何と言っても「実践」にある。しかも、学生のモチベーションが高い。これをうまく活用し、指導者が適切な指導を行うことにより、学生の「人間力」は飛躍的に伸びるのである。
例えば武道部では、年1回、市民文化会館で、一般の方を対象とした演武会を行っている。これが「社会との関わり実践」の場となっている。
まず第一段階として、武道部メソッドを普段から徹底して行う。部内で「実践力」を鍛えるのである。その上で演武会の、企画・立案、計画と実行、周辺店舗へのポスター掲示のお願い、協賛広告のお願い、地元FMやケーブルTVの出演交渉と出演等々、全員が「社会との関わり実践」を、先輩をリーダーとしたグループで行うのである。
武道部メソッドとこのようなシステムを基にした実践によって、社会で求められているコミュニケーション能力、協調性、主体性、責任感、実行力、計画力、チャレンジ精神、外向性、誠実性、課題発見力、状況把握力、プレゼンテーション能力等が総合的に養成される。その鍛えられた「人間力」は、就職先企業等からも、非常に高く評価されている。詳細はプロジェクトのWebサイトをご覧頂きたい。
http://hse.tut.ac.jp/nakamori/engineer_training/index.html
課外活動指導についても、日本語コミュニケーション教育同様、多くの指導者がもっている優れたメソッドを共有し、より技術者教育として意味のあるものにしたいと考えている。
注1)焼山廣志,中森康之:「高専から高専専攻科・大学に継続する日本語コミュニケーション教育に向けたプログラムの開発」, pp.367-370,平成20年度高等教育講演論文集, 2008、同:「客観的「自分」と主観的「自分」を語る方法」,同,2009参照。
注2)中森康之:「技術者教育としての課外活動の可能性~武道部メソッドの試み~」, pp.123-126,平成20年度高等教育講演論文集,2008、同:「メタメッセージを如何に伝えるか:武道部メソッド~技術者教育としての課外活動の可能性~」,同,2009参照。