豊橋技術科学大学 総合教育院

ご挨拶

自信をもって未来に羽ばたくために

挨拶ページ写真.jpg

 私たちは人生の中で、判断をする場面に出会います。試験問題の答案を書いたり、昼食に何を食べるのかを決めたりするのも判断をしている場面でしょう。実験でサンプルを何℃まで加熱するのか決めるのも、英作文でこの場合の前置詞は for なのか to なのか考えるのも判断が求められる例です。できるだけ良い結果につながる判断をしたいものですが、なかなか答えを出せずに迷うこともあります。

 では、良い結果のために迷わずに判断できるのはどんな場合でしょうか? 迷うこと自体は大切なことなのですが、迷ったとしても最後には自信をもって判断を下したい。この時、判断の裏付けとなる理屈や原理が明確であれば迷いは小さくなるでしょう。例えば、ある材料を400℃で加熱すると特性が向上することが技術的に知られているとします。400℃でどのような現象が起きるのか、400℃より高い(あるいは低い)温度では何が起きるのかを説明して特性向上を裏付けるのが科学であり、裏付けを知っている人は自信を持って温度設定ができるはずです。その科学をもとに新しい技術を創造する「技術科学」にも裏付けは重要です。似たようなことは英作文でもあてはめられて、伝えたいことを表すためにその前置詞を選ぶ理屈があり、その裏付けを持つ人は的確な文章を紡ぎ、自信を持って意見や気持ちを伝えることができるでしょう。

 こうした裏付けはその分野の中だけで見つかるものではありません。技術者が自然科学の方程式に基づいて設計し、未来を予測できるのは、数学者が揺るぎない数学を作ってくれたからです。社会や人々の営みに対して、新しい技術が及ぼす影響をどのようにして調査・理解するか、社会の動きをいかに予測するのかは、社会科学の知が裏付けを与えてくれるでしょう。人文科学の知は、人類の思索や知の歩みに根ざした彩りや奥行きを技術に与え、心に響く未来への指針を与えてくれるでしょう。語学やコミュニケーションを学ぶことは、皆さんが見出した新しい知を人々と議論し共有する、豊かな知の交流を可能にしてくれるでしょう。

 総合教育院のリベラルアーツ (Liberal Arts) の科目群での学びが、皆さんが技術者として、世界の市民として活躍する時の裏付けになるばかりでなく、さまざまな制約や束縛から離れて、自信をもって未来に羽ばたくための翼になることを願っています。

COPYRIGHT TOYOHASHI UNIVERSITY of TECHNOLOGY.ALL RIGHTS RESERVED.