高専においては、単に技術者育成のみを目的とするのではなく、人間としての成長期に合わせた情操教育を含めて、教育を実施することが謳われている。高専学生は、一般的に15歳~20歳の年齢が同時に同一構内に在籍し、学生の年齢レンジが比較的大きい。加えて、この時期の教育は、学生にとって人格形成と自己の確立において非常に大事な時期であると思われる。これらを踏まえると、この時期の課外活動を通しての教育には大きな可能性があり、充実させる必要があると考えられる。
同時に、知識・技術の習得とあわせて、ものをつくる上での倫理観の育成や、昨今重要視されているコミュニケーション能力の向上などが上可欠である。しかし、これらは講義・実習のみで培うことが難しく、課外活動のような他者との協働を通して習得を促進してく方法が十分に想定できる。より充実した高専の教育を築いていく上で、以上の課外活動の持つ役割を、高専の目指す教育像と照らし合わせる必要があると考える。ここで、中森[
注1]により、既に指導の手法をまとめるメソッド化が取り組まれている。今回は、そのメソッド化を念頭に、指導の方法やノウハウ、取り組み例の情報を蓄積し、課外活動の指導方法と教育的要素との関連性に着目して、その可能性を探る。
課外活動では、活動内容や指導者により方針が異なるため、それらを一般化することは難しいが、高専の実験・実習を重視した実践型教育において、課外活動は大きな意味を持つと捉えられる。このような高専における課外活動の役割を明確にしていくことにより、その継続性や有効性を検証していけると考える。
以上を踏まえて、教育メソッド開発に向けて、本稿では、高専において、ものづくり技術者の教育という視点からみた課外活動(特に体育系部活動)を取り扱い、その重要性と実践的な試みからのメソッド化の可能性を提示することを目的とする。