卒業生の声


竹井

「武道部メソッドの有効性」

KLab株式会社 竹井英行
(知識情報工学専攻 平成20年度修了生)

武道部で学んだことが、実際の社会でとても有効であったということを実感したエピソードを二つほどご紹介いたします。

1) 武道部でやった通りだった内定者研修

まず、私の内定先の企業であった内定者研修についてです。
10月の内定式の直後に行われた内定者研修で、次のような課題がありました。
 
【課題】 実際に会社で作られてきたサービスをテーマに、それに携わった先輩社員の方がどのように業務に取り組み、
      課題を解決していったのかを直接インタビューし、まとめたものを会社のHPにアップせよ。
【期限】 3日以内
【1グループ】 3~4人
  
  実際に行うことは、そのプロジェクトの研究から始まり、先輩社員の方へのアポ取り、インタビュー、文章作成、関係者への確認・校正願い、最後にサーバ担当者へアップロードをお願いするという内容です。

 この課題では社会において最低限必要な能力、つまり、アポ取りや的確なインタビューといった「コミュニケーション能力」、複数のメンバーと課題を達成するための「協調性」「主体性」、自社の公式WEBページに載せるという「責任感」、短期間で課題をこなすための「計画性」が求められていたのだと考えられます。

  しかし周りの内定者はまだ大学生で、もちろんこういった仕事の経験はまったくなく、メールの書き方でさえ四苦八苦しているような状況でした。しかし驚く事なかれ、この研修で行われた内容はすべて武道部で行ってきた仕事そのままだったのです!

  武道部では、打ち上げ幹事や、演武会といったビッグイベントの運営などの仕事を積極的に学生に任せるという方針があり、私はそれにより打ち上げ幹事やHP作成、演武会の実行委員長などを勤めさせていただきました。
 
  武道部での仕事に取り組む過程として、最初のうちは先輩について仕事の仕方を学んでいき、次の年には自らがその仕事をこなしていくという体制も整っているので、仕事を実践しながら正しく覚えていくことができました。 演武会では、企業に後援をお願いしたり、周辺のお店にポスター掲示のお願いをしたりといった、実際の社会とのやり取りも頻繁に行われます。またOBの方の会社での経験を基にした実践的なアドバイスを頂くこともできます。学生でありながら、「コミュニケーション能力」をはじめとした上記の社会的実践的能力を培うことができるのです。
 
 まさに「正統的周辺参加」の土壌がこの武道部にはあります!
 
 今回の研修課題は、特に武道部HP作成とほぼ同じ仕事のフローでした。他のグループが苦労している中、我々のグループは課題を達成することができました。もちろん、私一人の力では課題を達成することができませんでしたが、武道部での演武会実行委員長の経験をここでも生かすことができました。

  ちなみに、この課題は以外に難問だったようで、5グループ中2グループしか課題を達成することができなかったようです。

2) 縁が縁を繋いでいったシリコンバレー旅行

 次のエピソードは、先日行ったシリコンバレー旅行(卒業旅行)でのできごとです。

  私は技術を磨くためにweb系の勉強会によく参加しています。その時にお世話になり、名刺交換をさせて頂いた方には、帰宅後お礼のメールを送っています。これが今回のシリコンバレー旅行を、予想外に充実させてくれることになったのです。

 それはこういうことです。

  武道部では、その場だけでなく、帰ってからも、次に会った時も、お礼を言うことになっています。武道は礼に始まり礼に終わると言われるように、武道において礼はとても大切です。もちろん私も、武道部での仕事や空手以外の日常においても、礼を常に心掛けるようにしています。今ではごく当たり前の習慣となっていますので、その時もいつものようにお礼メールを出したのですが、なんとある方が、私と一度しか会っていないにも関わらず、私のことを覚えてくれていたのです。それだけでなく、シリコンバレーのロボット系スタートアップを招いたディナーに招待して下さるというのです。以前から卒業旅行は海外、シリコンバレーに行きたいと思っていた私にとって、それは夢のような話であり、またとないチャンスでした。ディナーでは、有名なスタートアップの方と知り合うことができ、ディナー後には会社を見学させていただくこともできました。

 まさしく、礼が縁を呼び、縁が未来を変えていったのです。

 これらのことは武道部にいなければあり得なかったと思います。
 
 また、武道部伝統の「一人一言」のおかげか、海外での自己紹介の機会があっても、あがらず冷静に言いたいことが言えました。なんと褒められました(笑)

 それ以外にも、企業の方にアポを取っていろんな企業を回ることができました。こんなに積極的になれるのも、仕事の仕方を学ぶことができ、人との繋がりの大切さを気づかせたてくれた武道部があったからこそです。

 今の私は武道部なしでは存在しないでしょう。中森先生を はじめ、武道部のみなさんには本当に感謝しています。これからもOBとして武道部を支えて行きたいと思います。

竹井
シリコンバレー・ロボット系ディナーでの一枚。
右から2番目のセルマさん とは、研究室見学以来4年ぶりの偶然の再会。縁とは不思議なものだ!